初日なので混雑するかもと心配していましたが、会場内はひっそりと客もまばら。それもそのはずで、訪問時はちょうど トークイベントが開催中。みなさんそっちへ行っているようでした。後で確認すると会場は満席で中に入れなかった人たちは室外に設置されたモニターを見ていました。
トークイベントはマンガ家の田中圭一氏(京都精華大学准教授)と伊藤剛氏(マンガ評論家、東京工芸大学教授)による「描く!を読み解く」。
会場内の展示物には田中圭一氏の解説文も掲示され、作品の解説や描画方法の違い等も詳しく知ることができます。
展示会で原画共々紹介されている作家は手塚治虫、石ノ森章太郎、藤子不二雄Ⓐ、赤塚不二夫、さいとう・たかを、水野英子、竹宮 惠子、陸奥A子、あずまきよひこ、島本和彦、平野耕太、PEACH-PIT、諸星大二郎等。有名どころがそろっているのですが、昭和30年代半ばから 40年代前半までを小学生として育った食彩品館.jpにとって手塚治虫、石ノ森章太郎、藤子不二雄、赤塚不二夫、さいとう・たかを各氏のマンガはソウル フードならぬ、ソウルマンガ。
子供にも上記の先生方の作品や巨人の星、はだしのゲン、自虐の詩等を課題図書として読ませてましたよ。
その教育が良かったのか、長女は大学で造形デザインを勉強するだけでなく、コミケに毎年行くようになりました。特にコミケは高校一年生から毎年、熱心に通っ て、社会人になっても毎年行っているが、これはさすがに家人から「お父さんの教育の所為だ」と言われる始末。でもそのおかげで今では立派に世界的なメーカーの高級乗用車のデザインを手掛けるお手伝いができるようになれたのだから失敗ではなかったのかもしれない。
↓ 展示会の配置図
ところでマンガ好きといっても、最近のマンガを読む機会がないのでまったく知らなかったのですが、「吼えろペン(島本和彦)」の原画を読んでいて思わず笑ってしまいました。これは良いものを発見しました。あらためてしっかり読んでみたいと思わせてくれました。
また、田中圭一氏の解説は非常にわかりやすく、作家の描く線の形や太さによって伝えたいことや伝わることの違いをよく理解することができました。大学の学問としてのマンガの授業の様子も知ることができたし、実に面白い展示会でした。
もっとも、「なかよし」「りぼん」世代でありながら、家人は途中で眠くなったそうなので興味の度合いの強弱で楽しめるかどうかも変化するかと思われます。
最後に。今回の展示での再確認できたことは以下の通り。
1.手塚治虫氏の偉大さ。後に続く人々の初期の絵がすべて手塚先生のキャラクターに似ていること。そして「後に続く人の発見」を大事にしたこと。
2. さいとうたかを氏の「無用ノ介(週刊少年マガジン1967年~1970年連載)」を最初に読んでから約50年近く経過して再見。原画の迫力に圧倒されました。特に当時としても、今となっても画期的な「8ページ連続無言(セリフなし)の絵」と「両ページ見開きの1枚構図」は久々に琴線に触れる。
当時は巨人の星、あしたの ジョー、ゲゲゲの鬼太郎というマンガの代表作品が収録されていた少年マガジンにおいて、無用ノ介は小学生にとって理解しにくく難解で怖い絵だったのですが、50年近く経過してさいとうたかを氏が意図した「劇画」の世界を堪能することができました。
良い展示会でした。子供ばっかりだったらどうしょうとかオタクと思われるのもなぁと思っていたことを反省。
●豊橋市美術博物館
愛知県豊橋市今橋町3-1(豊橋公園内)
℡0532-51-2882
建築面積2,867.3625㎡延床面積1階 2,389.8575㎡
2階 1,391.5525㎡
計 3,781.4100㎡
工期着工 昭和52年6月24日
竣工 昭和54年2月28日
利用可能時間9:00~17:00
定休(休館)日月
◇マンガ展
・世界的に評価の高い日本マンガの「描線・コマ・キャラ」など「描く」行為に焦点をあて、原画、資料、映像等により多角的に展観
2階の常設展示場で豊橋市の考古物を拝見。すばらしい。
◇馬越長火塚古墳(豊橋市石巻本町字紺屋谷)
・重要文化財を含む馬越長火塚古墳出土品展示(金銅装馬具)
1400年前の金箔が色鮮やかに残っている素晴らしい宝物です。
出土品が発掘された馬越長火塚古墳は横穴式石室(全長は前庭を含めると17.4m)がある前方後円墳で、規模的にも県内随一とか。
ちなみに今秋にカフェがリニューアルオープン予定。
↓ 本丸周辺
↓ 土塁・堀
==========================
●吉田藩祖豊城神社の碑。
現在は豊橋市東田町字北蓮田26番にある「豊城(とよしろ)神社」は元、この吉田城二の丸付近にありました。
鳥居の奥に見えるのは神武天皇像。